酸塩基平衡の見方(呼吸の講習会の復習①)
先日の呼吸の講習会で酸塩基平衡の見方の所で、講師の先生方が2人とも同じ図を用いて分かりやすく説明して頂いたのでシェアしたいと思います。
その図が秀逸なんですね。
直感的で分かりやすい。
例えば、問題
血ガス値が pH:7.30、 PaCO2:50Torr、 HCO3-:40mEq/l だったらどの様に評価すればいいですか? |
この自作問題をネタに、その図を交えて説明していきます。
この記事の目次はコチラ
STEP1. PHから酸性(アシドーシス)かアルカリ性(アルカローシス)かをみる
PHの正常値は7.35~7.45なので、7.35より小さければアシドーシス、7.45より大きければアルカローシスになります。
今回はPHが7.30なので図のように矢印を書き加えると、アシドーシスという事がわかります
STEP2. 図にPaCO2, HCO3- の実測値を書き加える
①PaCO2の正常値は35~45torr 、 HCO3-の正常値は22~26mEq/l なので正常値の値を図の様に書き加えます
PaCO2が増えると酸性(アシドーシス)、一方HCO3-が増えるとアルカリ性(アルカローシス)になるため数の大小が逆になるので注意して下さい
②ここに実測値であるPaCO2の値◎ とHCO3-の値▲を書き加えていきます
今回のPaCO2◎の値は50なので45より左側、HCO3-▲は40なので26より右側になります
こんな感じ
STEP3. PHの変化がPaCO2かHCO3-のどちらの影響を強く受けているか読み取る
PaCO2◎の方がHCO3-▲より強く影響している場合は「呼吸性」、HCO3-▲の方がPaCO2◎より強く影響している場合は「代謝性」となります。
PaCO2 ◎と HCO3- ▲のどちらが強く影響しているかは、どちら側に矢印があるかで判断します
矢印は▲よりも◎の方に行っているので、アシドーシスでも呼吸性アシドーシスである事がわかりました
STEP4 代償がされているかどうかみる
急性:PHは異常のままで、代償がされていない
部分代償:PHは異常ではあるが、代償が始まっている
慢性:PHは正常に戻ってはいるが、代償している
上の図より、PHはPaCO2の影響をうけて酸性(アシドーシス)になっているが、PHを正常に戻そうとしてHCO3-が増えている(=代償が始まっている)
つまりPHは異常(=アシドーシス)ではあるが、HCo3-が増えて代償は始まっているので、部分代償呼吸性アシドーシスという事がわかりました。
答え
部分代償呼吸性アシドーシス
皆さんもここまでの内容なら非常に分かりやすいのではないかと思います。
僕もそうでした。
ただここから更に他の病態が混在していないか他の実測値のNa+やCl-の値を使ってのチェック過程が入ります。
つまりアニオンギャップ(AG)や補正HCO3-の計算が必要となります。
初めてこのあたりを勉強した時、この辺からナンノコッチャという状態になってしまいました(・_・;)
ここからは非常に分かりやすいHPがあるので紹介します。
このHPを見る事でAGや補正HCO3-に対する苦手意識はなくなりました。
オススメです。
参考・引用文献
第10515回 理学療法士講習会(応用編)「臨床における呼吸理学療法」H28.2.13~14 配布資料
日本呼吸ケアネットワーク編.呼吸アセスメント 呼吸ケアのためのチーム医療実践ガイド.メジカルビュー社 .p57 – 71
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