「オーラルフレイル」の岩佐先生の講義があったので行ってみた!

 

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はじめに

「寝たきり予防と口腔機能 ~ オーラルフレイルってなに? ~ 」という演題で、岩佐康行(やすゆき)先生が今治まで来て講義をしてくれる(しかも無料!)、という事だったので行ってきました。

歯科の分野でも最近、サルコペニア(筋肉減少症)との絡みで予防分野に関わる先生も増えているそうなので興味深く参加しました。

 

岩佐先生の略歴はこちら

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オーラルフレイルってなに?

今回の演題のテーマにもなっている「オーラルフレイル」ですが、僕は今回はじめてこの言葉を知りました。

日本歯科医師会のHPに以下の様に分かりやすく説明されています。

オーラルフレイルについて|オーラルフレイル|啓発活動|日本歯科医師会

「オーラル・フレイル」とは、直訳すれば「歯・口の機能の虚弱」ですが、これは、東京大学高齢社会総合研究機構の辻哲夫教授、飯島勝矢准教授らによる、食環境の悪化から始まる筋肉減少を経て最終的に生活機能障害に至る構造の研究で示されているものです。(以下、続く…)

 

更に詳しく知りたい方は「オーラル・フレイル」の概念を提唱したグループの1人である飯島勝矢先生の以下の論文を読まれることをオススメします(無料)。


虚弱・サルコペニア予防における医科歯科連携の重要性: ~新概念『オーラル・フレイル』から高齢者の食力の維持・向上を目指す~

 

 

 

 

講演を聞いてみた感想

今回の参加者は介護事業者から病院の医療スタッフまで様々だったのですが、寝たきりの原因となる「誤嚥性肺炎・サルコペニア」 と 「口腔機能」との関係を非常に分かりやすく講義して頂けました。

特に「運動」 と 「栄養」を繋ぐのが 「口腔機能」 であるということで歯科の重要性がより認識できたと思います。

 

 

以下は忘備録です

 

○喉頭部に痰がべったり付着している様子を内視鏡で撮影された動画

この動画を見たら、なぜ食事訓練の前にSTさんが吸引を行っているのか一目瞭然。

声帯に痰がへばりついていることで、食べ物が食道に行かず気管へと引きずり込まれている様子が鮮明に捉えられていました。

先生も言っていましたが正常な「嚥下」を行うためには、その前に「呼吸」の通り道がスムースであることが必須を言われたのが実感できる動画じゃないのかと思います。

 

 

○形態学的な話

犬などヒト以外の動物は食物の通り道と空気の通り道はほぼ完全に分かれているため食べながら息をすることもできる。

(ちなみにヒトは飲み込む時には息はできない)

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http://www.uwajima-mh.jp/cancer/03info/index08.html より引用

しかし、ヒトは直立した事で中咽頭が発達し大きな空間が生まれたことで、様々な声を出し複雑なコミュニケーションを取れるようになったが、同時に食べ物と空気が交差する大きな空間が生まれため、誤嚥のリスクを背負う事になった。

「発語」と「嚥下」にそういった二律背反のような関係があった事に驚きました。

 

 

○食べる事ができる「口づくり」が大切

誤嚥性肺炎は下気道(声門より奥)に胃内容物や口腔内分泌物が入る事で起きるが、それはその入る「内容本人の抵抗力」に影響を受ける。

つまり清潔な口腔内の環境であれば、ちょっとぐらい口腔内分泌物を誤嚥した程度では肺炎にならない場合があるという事。

誤嚥自体をなくすことは難しいが、口腔内を清潔にすること(口腔ケア)は易しく、しかも確実に行えるため、「口腔ケアは摂食嚥下リハの基礎である」と強調されていました。

 

 

○「歯周病」と 「糖尿病」との関係

昔は糖尿病だから歯周病になりやすいという考え方が一般的だったが、最近は逆になっている(歯周病だから糖尿病という流れ)。

以下は厚労省のHPからの引用

 

歯周病と全身の状態 糖尿病と歯周病の双方向性 | e-ヘルスネット 情報提供
歯周病と全身の状態 糖尿病と歯周病の双方向性 …

 

 

 

歯周病関連細菌から出される内毒素が歯肉から血管内に入り込み、マクロファージからの腫瘍壊死因子α(TNF-α: tumor necrosis factor-α)の産生を促進します。その結果TNF-αの亢進が血糖値を下げる働きをもつホルモンであるインスリンをつくりにくくする(インスリン抵抗性)ことがわかっています。すなわち慢性炎症としての歯周炎の存在により血糖値は上昇し、糖尿病のコントロールをますます困難にし、同時に歯周炎も進行していくという悪循環に陥ります。インスリン抵抗性に対して、からだはなんとかしようとして、より多くのインスリンを産生しようとします(高インスリン血症)。しかし高インスリン血症が長く続くと、インスリン産生細胞である膵β細胞が疲労困憊し、末期の糖尿病となります。

 

 

○歯周病は放置されやすい

歯周病は歯の根本の潰瘍で、歯の根元の部分を合わせると掌(てのひら)ぐらいの面積にもなる。

その面積の潰瘍が消化器(胃や腸など)にあったら大事(おおごと)なのに、歯周病はなぜか放置されてる。

 

 

歯のない方は3倍低栄養のリスクあり (kikutani T et al.Relationship between nutrition status and dental occlusion in community-dwelling frail elder people. Geriatr Gerontol lnt.2012より)

 

 

○栄養状態のスクリーニングにネスレのMNA-SFが有用


この前の呼吸の講習会でも出てました

 

 

○ミキサー食やお粥など噛まなくても飲み込める柔らかいものでも、入れ歯があった方が食べやすい場合がある(安易に入れ歯を外すべきではない

ただ入れ歯を入れる事で食物の感覚が分かりづらくなったり、長年入れ歯を入れていない状態から、急に入れ歯を入れると食べ物の入るスペースが少なくなり、嚥下スピードが増え誤嚥のリスクが高まる事があるので注意が必要。

 

 

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http://blog.livedoor.jp/heisei_noirukoiru/archives/28628188.htmlより引用改変

舌骨上筋群(上の図)のは口を開ける時嚥下の際に働く筋群。

そのため咀嚼している時には嚥下はできない。

上記のため嚥下の際に口が半開きの状態であれば嚥下障害が疑われる(十分な喉頭挙上ができないためか?)

 

○食事介助をする際、介護者によるバラツキを避け一口量を統一するためカレースプーン、パフェスプーン、ティースプーンなどを食器を使い分ける

ちょうどカレースプーンとティスプーンの間を埋めるものを探していたので助かりました。

 

最後に

岩佐先生には、とても分かりやすく講義して頂きありがとうございました。

またこの様な講義を企画・運営していただいたJA元気今治のスタッフの方々にもお礼を申し上げます。

 

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「嚥下の見える評価をしよう!頸部聴診法トレーニング」を読んでみた!

 

 

 

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