息苦しい動作の評価の仕方(医療従事者向け:呼吸リハビリテーション⑦)

前回、息苦しさを軽減するために「②息苦しい動作をする時のコツを知る」 という事で話をさせてもらいました

実はその内容の殆どは参考資料にあげました川邉利子先生の「楽にできる!日常生活動作のコツ」から主に引用・参照させて頂いています

 

これ

あああ

この冊子は今から約10年ぐらい前に大阪でTEIJINファーマ株式会社さんが主催してくれた呼吸の勉強会で、参加者に配られたものです

今でもそんじゃそこらの呼吸の参考書よりも役立つ良著だと思っています

著者の川邉利子先生は、学科は違いますが僕の学校の先輩にあたるので何だか嬉しいのもありますね

 

この冊子が欲しい方は、全国各地にTEIJINファーマ株式会社さんの事業所がありますので問い合わせて見て下さい

無料で頂けるかもしれません

僕も愛媛に戻った際にこの冊子が行方不明になってしてしまい、下のHPの問い合わせに連絡した所、親切にもステーションまで何冊も無料で持ってきて頂けました

本当にありがとうございました(^_^)

いびきや息切れでお悩みのあなたへ ・・・帝人の在宅医療

 

 

 

 

 

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話を戻します

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前回話しました「息苦しい動作をする時のコツ」というのは、まさに作業療法だと僕は思っています

認知面さえある程度しっかりした方なら、息切れをすみやかに軽減できる場合が多く、とっても有効な手段です

 

そのため、つい最近まで3学会呼吸療法認定士の受験資格に作業療法士が含まれていないことにおかしさを感じていました

著者の川邉利子先生も作業療法士ですし

今後、3学会呼吸療法認定士の資格をきっかけに、呼吸リハビリテーションに興味を持って頂ける作業療法士の方が増えてくれたら嬉しく思います

 

 

 

息苦しい動作の評価の仕方(医療従事者向け)

今度は息苦しい動作をどのように評価していったらいいのか、という事で医療従事者向けに説明していきます

 

まず「入浴動作」を例に説明します

スライドの左側の表ですね

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上記の様に、「更衣後」「洗体後」…の様に動作毎に細かく区切って計測していきます

 

続いて計測するパラメーター(変数)についての説明

「Spo2」 経皮的酸素飽和度 で、評価あるいは動作練習中に90%を下回らないように注意します

「Pulse」 脈拍 で、Spo2を測る器械(パルスオキシメーター)で一緒に計れる場合が多いです。酸素の不足を心臓が頑張ることで補っている患者さんもいるのでとっても重要です

ただ気管支拡張剤などのβ(ベータ)遮断薬を投与されている患者さん(けっこう多い)の場合、運動に対する心臓の応答(心拍数の増加)が抑えられているので注意が必要

運動しても脈拍がそんなに上がってないから大丈夫っと早とちりしない様に!

 

 

「BS」息切れの程度を示す「修正Borgスケール」で患者さんの主観的な息切れがどの程度であるかを聴取します

こんな紙を見せて「上にいけばいくほど楽で、下にいけばいくほど息苦しいのですが、今の息苦しさはこれでいったらどのあたりになりますか?」 と問いかけたり、指で指し示してもらいます

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コチラからPDFファイルとしてダウンロードできますよ


修正Borgスケール表(Borg scaleⅡ)

 

 

 

 

 

患者さんの中には、長年の低酸素状態に慣れてしまい、SpO2がむっちゃ下がっているのに、息苦しさを感じない(にくい)患者さんがいたりするので注意が必要です

息苦しくないから大丈夫という事は全然なくて、ほっとくと低酸素性肺血管攣縮から肺高血圧症⇒右心不全など重大な病気を誘発させてしまいます

なので「Spo2が低下したら、本人が息苦しさをきちんと感じる事ができているのかどうかという事」もかなり大事ですよ

本人が分からなければ、酸素流量や環境調整、動作方法の変更、などのこちら側からのコントロールが必要になってきます

 

 

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ここで左側の「入浴動作」の表にはないのですが、右側の「洗面動作」の表にある「動作終了時」「30”」「1’00”」…の説明をしていきます

これは「動作直後」、「30秒後」、「1分後」…に計測することを示しています。

「動作直後」だけでいいのでは? と思われる方もいるかもしれません

 

COPDの患者さんの中には「動作直後」よりも「30秒後」や「1分後」の方がSpo2低下や修正Borgスケール増加が観られる場合があります

それはそのADL動作が動作中、無酸素運動で行われていた事を示しています

つまり動作が終わって休憩時に、無酸素運動時の酸素のツケ(=酸素負債)を支払わないといけないので、Spo2低下や修正Borg増大が観られる訳なんです

 

動作中はSpo2が90以上あるからまぁ大丈夫と安心していても、休憩時に80台前半までぐっと下がる場合があるわけですね

怖い怖い…

なので動作後の測定も重要です

 

それで酸素負債が観られるようであれば、運動強度が強すぎるということですから、負荷を下げるように動作方法の変更なり、足りない酸素を補ってあげる(動作時の酸素流量を増加するためDrに相談)など、何らかの対策が必要という事がわかるわけです

 

 

左の「入浴動作」にはないのですが、右側の「洗面動作」にある「RR」呼吸数です

動作に合わせた「口すぼめ呼吸」などの習熟度が上がってきたり、新たな動作方法が定着してくると、このRRの値が減ったりします

そんなんで僕らは呼吸リハビリの効果がでてきたのかなぁと思ったりする訳です

 

 

またRR(呼吸数)は安静時のCO2ナルコーシスのリスク管理にもなります

運動時には換気が促進されるのでナルコーシスになることは稀だと思うのですが、安静時(休憩時)にはなるリスクがあります

健常な人は通常は血中のCO2濃度増加で換気が促進されるのですが、長年COPDの方は血中のCo2濃度が常に高い状態なのでそれに慣れてしまい、この機能がおかしくなっています

代わりに血液中の酸素濃度低下で、換気が促進され呼吸をしています

そこに高濃度の酸素を投与されると、血液中に十分な酸素があると体が勘違いして呼吸すること自体を止めてしまうんですね

それでSpo2が急激に低下してしまいます(=CO2ナルコーシス

 

はっきりいって命に関わります

 

ただCO2ナルコーシスは、Spo2低下の前に必ず呼吸数(RR)低下が先行するのでわかる訳です

そばにいるセラピストは分かる訳です(ちゃんとモニタしていたらね!)

 

 

CO2ナルコーシスに関する記事はコチラ

北川知佳先生の呼吸の勉強会 (運動時の酸素増量とCO2ナルコーシス)

 

 

 

 

今回は「入浴動作」と「洗面動作」を例に挙げましたが、日常生活にはその他沢山の動作がありますね

そのため僕ら医療従事者はADL動作毎に評価していく必要があります

 

 

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ここまでで②の「息苦しい動作をする時のコツを知る」の説明を終わります

次回から「息苦しさ」を軽減するため③の「体力をつける」について説明していこうと思います

 

つづきはコチラ⇒ COPDの患者さんには食事が大切な理由

 

 

 

 

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