COPDが進行するとどうなる?禁煙の効果(呼吸リハビリテーション②)

COPDが進行するとどうなる?

12

少し動いただけでも「息切れ(息苦しさ)」が生じてしまいます

 

「息切れ」程度なら大丈夫と軽く思われる方もいるかもしれませんが、ひどくなると心不全を引き起こしてしまいに関わってきます

その(右)心不全を引き起こすメカニズムには2つあります

 

ささ

恵比寿GEN気倶楽部からだ辞典様より引用

 

1つ目は、COPDが重症になってくるとガス交換する肺胞自体が壊れちゃいます

肺胞にはガス交換するための血管でびっしり覆われているのですが、壊れた肺胞の分だけ血管が少なくなります

心臓からくる血液の量は変わらないのに、肺で受けとめる血液量が少なくなってしまっているため、心臓から肺へ血液を送り出す右心に負担がかかってしまう訳です

 

2つ目は、COPDがひどくなると血液中の酸素濃度が下がります

肺内の血管はこの酸素濃度の低下に敏感に反応して、より酸素濃度のいい肺内の別の血管でガス交換させようとして、酸素濃度の低い血管はキュッと収縮させて血流を制限します

とっても賢いんですね

ただ肺内の血管全体に酸素濃度の低い血液が流れていると、全部の血管がキュッと細くなってしまいます

それで心臓から肺に血液を送り出す右心に負荷がかかってしまう訳です

 

こんな原因で右心不全になっちゃうんですね

ガ━━(゚д゚;)━━ン!!

 

 

またCOPDの既往があると軽度認知症になりやすいとする論文も散見されます


実際、臨床ではどうなのかといいますと、COPDが重度の方に認知症が多い印象があります

長年の低酸素で脳に器質的なダメージが加わっているんじゃないかなと思っています

COPDの方の息切れを軽減するの有効な方法に、動作時の工夫が重要なのですが、認知症のためにその動作手順を覚える事が困難な方いらっしゃるので、難渋することがあります

 

 

 

COPDの身体所見

COPDの患者さんは見た目も変化が観られます

13

COPDになってしまうと、息が吐きづらくなってしまい、しっかり息を吐ききれなります

そのため吐き残した空気が肺に貯まり、健康な方に比べて肺が膨らんでしまいます(=動的過膨張:Dynamic hyperinflation)

AA121UpToDate様より引用改変

 

上の図は動的過膨張している肺と正常な肺の肺気量をみたものです

黒の実線が動的過膨張の肺で赤が正常な肺です

正常な肺は吐ききると元のレベルに戻りますが、動的過膨張のある肺はしっかり吐ききれないため空気が貯まっていきます

時間が経過する毎にひどくなり最大吸気量(IC)に近づいていきます

 

つまり動的過膨張している人の息を吸う感じを僕らが味わおうとするなら、息を沢山吸いこんだ状態から更に息を吸い込むような感じなのかもしれません

大変ですね…

 

 

COPDが重度の患者さんは、一見体格が良さそうに見えるのですが、筋肉が多いわけではなくて、胸が空気で膨らんでいる状態なんです

それは見た目が樽(タル)のような形をしているので樽状肺と呼ばれています

 

 

 

他の見た目の特徴としては

14

COPDの患者さんは、空気の出し入れがしにくい(換気困難)があるため、一生懸命呼吸をしようとして、通常安静時には使われない呼吸補助筋 と呼ばれる筋肉を使われている方が多いです

そのため呼吸補助筋が発達して肥大するため、見た目でわかる場合があります

代表的な筋肉としては、胸鎖乳突筋斜角筋僧帽筋 などです

呼吸補助筋

 

 

COPDの患者さんの中には、特に指導されていなくても自然と口すぼめ呼吸をしている人がいます

口すぼめ呼吸

(マンガ)認知症のある人って、なぜよく怒られるんだろうより引用

 

 

ではなぜCOPDの患者さんは口すぼめ呼吸をされているのでしょうか?

29

COPDの患者さんの中で特に肺気腫タイプの患者さんでは、肺胞が障害されると言う事を以前書かしてもらいました

具体的にいいますと、肺胞の中でも肺胞壁という部分に炎症が起きて破壊されていきます

 

身近な例でいいますと、上のスライドのテントの骨の部分です

テントは骨があるから人が出入りしやすいのですが、骨がない潰れたテントに人は入りやすいでしょうか?

むっちゃ出入りしにくいですね

そのテントに出入りする「人」が「空気」で「テント」が「肺胞」だと思ってもらえると理解しやすいと思います

 

そのためCOPDの患者さんは余分に「空気」を入れて「テント」=「肺胞」を膨らましている状態なんですね

好きで膨らましている訳ではないんです

それで樽状肺になっちゃっているですね

 

A123

COPDの患者さんは息を吐く時に気道が塞がり息が十分に吐ききれません

 

そこで口すぼめ呼吸をすると、気道内圧が高くなり、塞がった気道がひろがるので息が吐きやすくなる訳です

つまり、先ほどいいましたテントの骨の代わりを気道内圧がしてくれるんです

それでCOPDの患者さんの中には、息をするのが楽だから特に教えられたわけでもなく「口すぼめ呼吸」をされている方がいるんですね

 

 

 

14

また見た目の意外な所としてにも変化が観られるようになります

 

バチ指というのは、スライドの写真に出ている様に太鼓を叩くバチの形をした指です

数ヶ月にわたって低酸素状態が続くと、爪の付け根の部分が浮腫(むく)んでしまうのが原因です

短期的な低酸素は唇などが紫色になったり(チアノーゼ)して分かるのですが、長期的なのは指を見ると分かり良いです

血糖値でいう所のHbA1C(ヘモグロビンエーワンシー)みたいなものですね

 

 

バチ指の簡単な確認の仕方は、左右の人差し指(示指)の爪先と、指の先の関節(遠位指節関節)同士を背中合わせにして、左右の爪の間にひし形の隙間ができるかを確かめます

バチ指

12) より引用改変

バチ指の場合爪の付け根が浮腫んでいるため上の図の様になり、ひし形が作れません

これで分かります

 

 

COPDの方の体の見た目の特徴はこれくらいにして、次はCOPDの治療法について説明していきます

 

 

 

COPDの治療方法

15

以前は治らない病気とされていましたが、「少しでも早く病気に気づき、治療を開始することで健康状態の悪化と日常生活の障害を防げれる病気」 と定義されなおしました

 

 

具体的な治療法についてみていきます

 

僕が理学療法士ということもあり、今回はその治療法の1つである「呼吸リハビリテーション」について主に説明していきたいのですが、「禁煙」という治療がなされないといくら「呼吸リハビリテーション」を頑張っても台無しにされてしまう ので、まず「禁煙」について説明しておきます

 

 

 

禁煙の効果

COPDの発症するリスクを減らし、進行を止める唯一の治療法が禁煙です

16

COPDは「タバコ病」と言われるぐらい喫煙の影響は甚大です

皆さんもこの写真は目が痛くなるぐらい何度も見たことがあるんじゃないでしょうか?

 

 

17

実際に調べた研究では「喫煙者7人に1人がCOPDであった」というデータが出ていますが、これに受動喫煙を合わせるともっと確率は増えそうです

 

喫煙されている方の中には、今さらやめても無駄なんじゃないかと思われている方がいると思いますが、今すぐやめるだけでも必ず効果があります

18

 

 

その理由を示したのが、下のスライドです

19

縦軸の下にいけば行くほどCOPDが重度ということを示していて、横軸な年齢を示しています

 

1番の上の実線はタバコを吸わない人あるいは、タバコを吸っても自分は全く害のない幸せな人です

この様な方は亡くなるまで、呼吸器が原因で日常生活で息切れを感じることなく過ごす事ができます

タバコを吸っても自分に害を及ばさない人(=タバコ感受性なしの人)は確かに一定数いらっしゃいます。しかし、自分が大丈夫でも、自分の傍にいる大切な方が自分と同じタバコ感受性なしの人である訳ではないので、ご注意下さい

 

タバコを吸っている人で、タバコに反応して炎症が起きてしまう人(=タバコ感受性ありの人)の場合だったら、65歳あたりで日常生活で息切れを感じる様になります

でも45歳で禁煙をしたら図の点線の様に、タバコやめた直後から呼吸機能の低下のカーブが緩くなり、日常生活で息切れを感じる年齢をず~~と先延ばしにすることができます

ちなみに息切れを感じはじめた65歳でタバコをやめたとしても、息切れは日常生活で感じますが寿命を引き延ばすことができるそうです

つまりいつタバコをやめても効果はあるんですね

 

 

更に禁煙について畳み掛けます!

 

特に喫煙者で女性の方は、タバコ吸うことで空腹感が少なくなったり、味覚を鈍くする事でダイエット効果を狙っている方がいるかもしれません

しかしタバコを吸うことで皮膚の老化が促進されるという事も忘れないで下さい

 

 

以下の写真は「非喫煙者」と「喫煙者」の一卵性双生児の画像です

NAVERまとめ様より引用改変

 

左が「非喫煙者」、右が「喫煙者」

あ

S

 

うゎ~と思われたと思います

喫煙者のシワは特に目立ちますね

 

 

タバコはできるだけ早く止める事をオススメします

 

 

次は、息切れを軽減するために、本題の「呼吸リハビリテーション」について説明していきます

 

つづきはコチラ ⇒  「薬物療法」 と「酸素療法」に加えて「呼吸リハビリテーション」をする意味は?

 

 

 

 

こちらも読まれると更にブラッシュアップできますよ

 

COPD(慢性閉塞性肺疾患)の患者さんの息切れを軽くするために
COPDの患者さんが医療従事者に望む事は?
「禁煙」しないとリハビリしても意味はない!
「薬物療法」 と「酸素療法」に加えて「リハビリ」をする効果は?
腹式呼吸は指導すべき?
横隔膜の同定には打診!
息苦しい動作をする時のコツを知っていますか?
息苦しい動作の評価の仕方(医療従事者向け)
COPDの患者さんには食事(栄養療法)が大切な理由 
なぜCOPDの患者さんは筋トレをしないといけないのか?
「筋持久力」と「全身持久力」との違いはわかりますか?

呼吸理学療法手技
ポストリフトって知ってますか?
「呼吸介助」 と 「スクイージング」の違いについてサクッとまとめてみた
呼吸介助についてまとめてみたよ!
息苦しいから呼吸介助?(息切れがあっても呼吸介助の意味がない場合)
自分で痰を出しやすくする方法(ハッフィング)についてまとめてみた

吸引回数を減らすために
ゴロゴロ(貯痰留音)するからといって反射的に吸引していないですか?
動く(動かす)と吸引回数が減る理由はわかりますか?

聴診
前から見た時の、上・中・下葉の見つけ方
横と後ろから見た時の、上・中・下葉の見つけ方
肺区域(S1~S10)の場所の見つけ方
なぜ肺から音が聞こえるかわかりますか?
正常な音と、そうではない音との聞き分け方

呼吸関係その他
呼吸療法認定士試験の勉強方法
「スクイージング」の宮川先生達の講義があったので行ってきた!
酸塩基平衡の見方 
側副気道・排痰機序・等圧点理論 
換気血流比不均等、低換気の原因、シクソトピーコンディショニング 
COPDは糖尿病と同じ?
貯筋しましょう!(侵襲時の代謝の特徴)
「運動」は最良の薬! 
ABCDEバンドル と維持期 
COPDの患者さんにも積極的な栄養療法が適さない時期がある!(不可逆的悪液質)
リスク管理、スターリングの法則、拡散障害
気道粘膜除去装置(パルサー)説明会 
「オーラルフレイル」の岩佐先生の講義があったので行ってみた!
呼吸の勉強会(RTXのケーススタデイ)に行ってきた!
第11回愛媛県呼吸不全研究会に行ってきた!(Mostgraph)

 

 

オススメの文献

 

参考・引用文献

end改

Leave a Reply

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です