聴診の話③(肺区域・ランドマーク・目印)

前回までは上葉・中葉・下葉の位置関係について説明してきたのですが、体位ドレナージ(体位排痰法)は上葉・中葉・下葉ではなく、それよりも細かい肺区域であるS1~S10に対応して作られています

 

 

その体位排痰法とはこんなの( 以前に紹介したスライド)

image-0047

そのため、体位ドレナージを使うためにも肺区域である S1~S10がわからないといけないのでこれら説明していきます

 

 

肺区域(S1 ~ S10)の説明

image-0022

前回までの記事で、肺には上葉・中葉・下葉があることがわかっていただけたと思います

その上葉は肺区域のS1~S3が合わさったもの、中葉(左肺では上葉の舌区)はS4とS5下葉はS6~S10 が合わさったものになります

 

 

S とかでてきてややこしい感じですが、簡単な覚え方もありますので、ちょっとしんどいですがついてきて下さい

 

 

肺は気管支の先に左右10個ずつの部屋があり、それが合わさったものです

 

ss1

 

主な気管支にはそれぞれに名前がついていて、B1、B2・・・・・・、B10 といい、その気管支の先にある部屋もそれぞれS1、右S2……、S10 と名前がついています

 

このB とかS はというのは、

気管支は木の枝みたいなので Branchブランチ(枝)の「B」

肺区域は Segmentセグメント(区域)の「S」 からとったものです

 

 

つまり左右10本の主な気管支Bの先には左右10個の部屋Sがあるわけなんです

 

解剖的な位置関係で何個かの部屋Sを集めて上葉・中葉・下葉といっているだけです

image-0023

つまりS1~S10というは、B1~10の気管支の先にあるので、気管支のB1~10の位置が分かればS1~10の位置が分かることに気づいてもらえたらと思います

 

その覚え方なんですが、自分の身体を使いながらの方が覚えやすいということで、昔から「気管支体操」というものが知られています

参考書などでよく紹介されているのですが、それよりも分かりやすく工夫されたバージョンがあるので紹介します

 

 

それは滋賀医大講師の長尾先生がHPで紹介されている方法です

 

 

その名もブロンコ体操

image-0024

 

image-0025

上のスライドはB1についてですが、その他のB2~10はコチラ(長尾先生のHPへのリンク)を参照してください

 

この体操のは自分自身を肺だと思って「1,2,3、…10」と声を出しながら手を動かしていきます

右前腕右側の気管支 で、右手がその気管支の先にある肺区域

左前腕左側の気管支 で、左手がその気管支の先にある肺区域

 

 

この体操を何度も何度もしていると自然と覚える事ができました

長尾先生に本当に感謝です m(_ _ )m

 

 

またこのブロンコ体操のいい所は、手を上にした姿勢が体位ドレナージの姿勢とある程度一致する ので排痰体位が覚えやすくなる、というオマケ付きです

ブロンコ体操と排痰体位

 

排痰体位とはこんなの

排痰体位

 

 

他にもブロンコ体操のメリットがあります

それば教科書とかに出ている排痰体位はのは殆どが右側ばっかりなのですが、みなさん左はどうなの?と思った事はないでしょうか?

A

ブロンコ体操の左腕が左側の気管支の方向、左手が左側の肺区域に対応しているため、ブロンコ体操で左側の排痰体位もある程度推測できちゃうんですね

素晴らしいです

右の主気管支が左よりも太く(内径 右:15mm/左:12mm)角度も急(右:25°/左:45°)なため、右側の肺の方が病変が起きやすいとよく言われていますが、臨床では左側の肺にも病変が観られる事がよくあります

そのため左側の排痰体位をとる場面というのは結構あるんですね

 

そんな事もありブロンコ体操を覚えてしまう事を強く勧めます

 

 

話を戻します

ブロンコ体操で気管支の位置関係がある程度理解できたら、下のスライドの肺区域の位置関係もイメージしやすくなる思います

image-0026

上のこの図を見て覚えてって言われても難しいですから、ブロンコ体操をして体で覚えちゃいましょう!

 

 

 

「自分が聴診している所がSのどこなのか」を見つける方法

実際に患者さんを目の前にして、自分が聴診している所がSのどこにあたるのか知りたければ、まずそこが上葉・中葉・下葉のどれなのかを 前回までの記事 を参考にしてに見つけます

 

その後、ブロンコ体操でS1~10のどれにあたるのかを考えると分かりやすいです

上葉・中葉・下葉の位置さえしっかりわかっていたら、枠が分かっている分大きくずれる事は少ないです

 

初めのうちはその場で体操をしてもみてもいいと思います

ぼくも覚え始めの頃していたら、患者さんは踊っている様にみえたのか不思議そうな顔をさせてしまいました(^^ゞ

 

今はもう大丈夫!

 

 

 

図で説明してきます

 

 

まず前面から

前回までの記事を参考にしていただいて 上葉・中葉・下葉の場所の大枠 を把握したら

image-0013

上葉は第4肋骨より上 ⇒ 上葉はS1~3⇒ ブロンコ体操してみて前面にくるのはS1,S3

中葉は第4肋骨より下で第6肋骨より上⇒ 中葉はS4,S5⇒ ブロンコ体操してみて前面にくるのはS4,S5

 

image-0027

 

 

今度は側面

この記事を参考にしていただいて 上葉・中葉・下葉の位置 を把握したら

image-0015

上葉は第2胸椎棘突起と第4肋骨を結んだ線より上⇒ 上葉はS1~3⇒ ブロンコ体操で埋める

中葉は第2胸椎棘突起と第2と4肋骨を結んだ線の間で、中腋窩線より腹側⇒ 中葉はS4,5⇒ ブロンコ体操で埋める

下葉は第2胸椎棘突起と第4肋骨を結んだ線と第8肋骨との間⇒ 下葉はS6~S10⇒ ブロンコ体操で埋める

 

 

image-0028

 

 

最後に後面

この記事を参考にしていただいて 上葉・中葉・下葉の位置 を把握したら

image-0017

上葉は第2胸椎棘突起と腋窩を結んだ線より上⇒ 上葉はS1~3⇒ ブロンコ体操で埋める

下葉は第2胸椎棘突起と腋窩を結んだ線と第10肋骨より上⇒ 下葉はS6~10⇒ ブロンコ体操で埋める

 

image-0029

慣れてくると「このあたりはS10だ」 などとブロンコ体操を思い浮かべなくても分かるようになります

 

 

 

練習問題

覚えやすいように下に練習問題(PDFファイル)を作ったのでプリントアウトしてチラチラみて下さい

そのうち目に焼き付いてくると思います

 

問題編

%e5%86%99%e7%9c%9f-2016-12-30-20-46-27

 

回答編

%e5%86%99%e7%9c%9f-2016-12-30-20-37-19

 

こちらがダウンロード用PDFファイル


肺区域練習問題

 

 

 

 

 

これで S1~S10の場所が分かったので、どの排痰体位をとればよいのかということ が分かったと思います

d

 

しかし、そもそもS1~S10という場所が分かっても痰が溜まっている という事が分からなければ排痰体位は使えません

 

ではどうやってそこに痰があるかどうかが分かるのでしょうか?

それは聴診した時の「」で判断するんですね

「どんな音が聞こえているのか」 「どのタイミングでその音が聞こえてくるのか」 によって痰であるか、そうでないのかを判断します

 

続きはコチラ ⇒  聴診時の「音」について

 

 

スポンサーリンク

 

 

こちらも読まれると更にブラッシュアップできますよ

COPD(慢性閉塞性肺疾患)の患者さんの息切れを軽くするために
COPDの患者さんが医療従事者に望む事は?
「禁煙」しないとリハビリしても意味はない!
「薬物療法」 と「酸素療法」に加えて「リハビリ」をする効果は?
腹式呼吸は指導すべき?
横隔膜の同定には打診!
息苦しい動作をする時のコツを知っていますか?
息苦しい動作の評価の仕方(医療従事者向け)
COPDの患者さんには食事(栄養療法)が大切な理由 
なぜCOPDの患者さんは筋トレをしないといけないのか?
「筋持久力」と「全身持久力」との違いはわかりますか?

呼吸理学療法手技
ポストリフトって知ってますか?
「呼吸介助」 と 「スクイージング」の違いについてサクッとまとめてみた
呼吸介助についてまとめてみたよ!
息苦しいから呼吸介助?(息切れがあっても呼吸介助の意味がない場合)
自分で痰を出しやすくする方法(ハッフィング)についてまとめてみた

吸引回数を減らすために
ゴロゴロ(貯痰留音)するからといって反射的に吸引していないですか?
動く(動かす)と吸引回数が減る理由はわかりますか?

聴診
前から見た時の、上・中・下葉の見つけ方
横と後ろから見た時の、上・中・下葉の見つけ方
肺区域(S1~S10)の場所の見つけ方
なぜ肺から音が聞こえるかわかりますか?
正常な音と、そうではない音との聞き分け方

呼吸関係その他
呼吸療法認定士試験の勉強方法
「スクイージング」の宮川先生達の講義があったので行ってきた!
酸塩基平衡の見方 
側副気道・排痰機序・等圧点理論 
換気血流比不均等、低換気の原因、シクソトピーコンディショニング 
COPDは糖尿病と同じ?
貯筋しましょう!(侵襲時の代謝の特徴)
「運動」は最良の薬! 
ABCDEバンドル と維持期 
COPDの患者さんにも積極的な栄養療法が適さない時期がある!(不可逆的悪液質)
リスク管理、スターリングの法則、拡散障害
気道粘膜除去装置(パルサー)説明会 
「オーラルフレイル」の岩佐先生の講義があったので行ってみた!
呼吸の勉強会(RTXのケーススタデイ)に行ってきた!
第11回愛媛県呼吸不全研究会に行ってきた!(Mostgraph)

 

引用・参考文献

hijijijjiiugygiluh

 

 

今回の引用・参考文献の中でも特に読まれることをオススメする本です

 

 

ブログランキングに参加しています。
お役にたてたようならポチッとお願いします。


訪問看護 ブログランキングへ

Leave a Reply

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です