転倒予防①(転倒が寝たきりの原因となる理由、訪問看護・リハビリ と 転倒)

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転倒予防について勉強し始めたきっかけ

 

転倒予防

転倒予防についてスライドを作る必要がでてきました(・_・;)

 

僕は介護予防推進リーダーの資格を持っているので(愛媛県理学療法士)協会から依頼でもあったの?と思われる方もいるかもしれませんが、残念ながら全く関係ありません

介護予防推進リーダー研修 – ちんねんの徒然なる日記

 

 

資格取得してから半年ぐらいになりますが、協会から何の音沙汰ありません(*。‐ω‐))

まぁそんなものなのですね

 

※以前、市町村の介護予防事業である介護予防教室などは、包括支援センターの担当者が個別にセラピストに依頼していました(ちなみに僕も依頼され講義をした事あり)。しかし最近は地元の県士会(こちらは愛媛県理学療法士協会)が窓口となってセラピストに仕事を振るという流れになりつつある様です。

 

 

転倒予防に関するスライドを作る必要が出来てきたのは、訪問看護師さん向け転倒予防について話をして欲しいと言われたためです。

 

 

僕は呼吸関連のスライドなら手持ちはあるのですが、転倒予防となると全くありません。

呼吸に関することなら喜んでお受けするのですが……本当にどうしよう……。

 

 

「転倒が原因で寝たきりになる事があるので転倒予防は大事」という一般常識程度の認識しかなく、今までしっかり勉強した事は全くありませんでした(・_・;)

 

 

そこで今回、自分の勉強も兼ねて転倒予防のスライドを作ってみる事にしました。

今回は、まとめた事をちょっと紹介してみます。

 

 

転倒は寝たきりの原因の何番目?

 

寝たきり

 

転倒が寝たきりの原因になると言われていますが、皆さんは「転倒」が寝たきりの原因の何番目かはご存知でしょうか?

 

コチラが寝たきりの原因ランキング

要介護度別にみた介護が必要となった主な原因の構成割合(平成26年国民生活基礎調査p50より引用改変)

 要介護度別にみた介護が必要となった主な原因の構成割合.平成26年  1)

 

最近のデータでは「転倒」は原因の4番目になっています。

 

寝たきりになる主な原因 厚生労働省「国民生活基礎調査」(2004年)より

寝たきりになる主な原因.平成16年 厚生労働省「国民生活基礎調査」より

 

 

10年前は「認知症」より前の3番目なので、順位的には少し落ちた様ですね。

「認知症」は以前は4番目(現在は2番目)だった事を考えると「認知症」の伸びが大きい様にも思えます。

以前はただ単に「認知症」が「骨折・転倒」の原因とされてなかっただけなのかもしれませんが…。

「認知症」で転倒して寝たきりになったケースを「骨折・転倒」のカテゴリに入れるか、「認知症」のカテゴリに入れるかで大分違うようにも思われます。

ただ「認知症」というだけで「転倒」の危険性が2倍以上になるというぐらい研究結果2)もあるくらいなので、「認知症」と「転倒・骨折」を分けるのは難しいのかもしれません。

 

 

転倒が寝たきりの原因となる理由

 

では転倒が寝たきりの原因となる事を少し深く考えてみましょう。

 

転倒による「骨折」など外傷が原因で動けなくなり寝たきりになってしまうケースと、「転倒した事による不安」が原因で活動性が落ち、廃用により寝たきりになってしまうケースが考えられると思います。

 

「転倒した事による不安」が原因で寝たきりになってしまうというケースについてですが、理学療法士協会がまとめたデータ3)でもそれが示唆されています。

過去1年間の転倒回数と1週間あたりの外出頻度

過去1年間の転倒回数と1週間あたりの外出頻度 3)

 

過去1年間の転倒回数と外出への不安感

過去1年間の転倒回数と外出への不安感 3)

 

以上のデータから「転倒回数が多くなると、外出頻度が減り不安感が高まる」という事が言えそうです。

 

では不安感から活動性が落ちて廃用になると事を説明すると、

転倒による廃用の悪循環

こんな感じで廃用の悪循環が進んで、転倒による外傷の程度が軽くでも、寝たきりになっていくのではないかと思われます。

 

Tinettiらも「転倒」と「ADL低下」は、それ自体が悪循環の相乗効果を招く4と報告しています。

 

だからヒッププロテクターやヘッドギアなどを使って転倒した際に怪我の程度を軽くすることも大事ですが、転倒そのものを予防することもむっちゃ大事という事ですね。

 

足の付け根の骨をクッションで守るヒッププロテクター

 

 

訪問看護 (訪問リハビリ) と  転倒

僕は訪問リハビリには6年近く関わっていますが、転倒に関する事を思い起こしてみると色々あります。

 

 

①「転倒して骨折となり入院治療のため訪問が中止となったケース」

過去にあったのですが、患者さんの身体機能・ADLレベルを想定して物的あるいは人的環境を整えたと思っても、患者さんが想定していた以上に動かれたりする場合に起こってしまった事例です。

幸い骨折治療後に在宅には復帰されましたが、自分の力不足を感じたケースでした。

転倒は予防したいですけど、制限を加え過ぎて廃用を引き起こしてもいけないのでMAJIDE難しいです。

 

 

②「主介護者が転倒して骨折したため在宅生活を維持できずに中止となったケース」

年齢別にみた同居の主な介護者と要介護者等の割合の年次推移(平成26年国民生活基礎調査P53より引用改変)

年齢別にみた同居の主な介護者と要介護者等の割合の年次推移.平成26年  5)

 

上のグラフの様に主介護者も高齢な場合が多いため、本人の安楽な在宅生活の維持のためにも主介護者の転倒予防も考えないといけないと思います。

本人が転倒しないような環境づくりが主介護者の転倒予防にも繋がるという意識で介入していましたが、それだけでは不十分と痛感した事例です。

今回、転倒予防について勉強する事が生かせればと思っています。

 

 

「転倒しないための環境調整から訪問リハビリが開始したケース」

これが「転倒」関係では1番多いかもしれません。

特にターミナルや難病の患者さんなのですが、身体機能・ADLが刻々と変化するため、その変化にあわせて環境調整をする必要性があります。

 

1週間に1回の訪問毎に移動形態を変えたりしたともあります。

 

伝い歩き⇒ 歩行車歩行⇒ 固定式歩行器歩行⇒ 車椅子自走 の様に

動ける間は活動量を維持ししつつ、転倒を予防するような環境調整が求められます

いつも「大丈夫かなぁ」と僕が不安に思っています。

 

 

「転倒したけど起き上がれないので手伝いに来てほしいと言われたケース」

転倒されたのですが、幸い外傷等もなく起き上がりたい(起き上がらせたい)けど、介護者も高齢という事もあって難しいので手伝って欲しい、とステーションに電話が掛かってきたケースです。

この患者さんの場合はバランスを取りにくくなる難病に加えて、認知症の影響もあり転倒を繰り返していました。

そのため床上生活への変更は納得して頂けたのですが、トイレは屋内トイレを使用したいという希望があったため、電動の昇降式座椅子と車椅子を使って、介助下で屋内トイレを使用する事になりました。

ある程度スペースのある場所なら主介護者の方でも立ち上がり介助できる方法を伝えさせてもらい、できる様になったのですが、今回はトイレ内と狭いスペースで転倒されたためヘルプを求められたという事例でした。

トイレ内は倒れる様なスペースが無いほど狭い状態であったため、倒れそうになっても壁で支えられるものと考えていました。

助けに駆けつけた時には、空いているスペースに体がハマってしまうような形で倒れられていました。

もっと想像力を持たないといけないと痛感した事例でした。

 

転倒した際に見た目外傷等なくても、慢性硬膜下血腫など転倒後しばらくたってから症状がでる場合もあるのでご注意下さい。

 

 

 

最後に、僕のブログを見てくれている方は医療関係者が多い思いますが、普段1番怖いと思われるのが⑤「歩行など動作練習中に患者さんを転倒させてしまうこと」ですね。

訪問看護師さんなら入浴介助中などでしょうか。

 

介入中は僕らに責任がある訳ですから。

幸い理学療法士になってから介入中に一度も転倒させてしまうことは無かったのですが、ヒヤリとすることは多々ありました

 

あまりにも怖いので個人的に保険に入っているくらいです。

PT賠償責任

昨年度のものですが、これを本年度も自動更新しています。

 

転倒予防は、患者さんの安楽な在宅生活の維持に加えて、自分の身を守ることにも繋がります

 

 

こう考えてみると①~⑤の様々なケースがあり、転倒予防は訪問リハビリ(訪問看護)にとっても関係は深く、もっと早く勉強しておくべきだったと反省しています。

 

 

今回、スライドを作るに当たってまず参考にした文献はこちら。

写真 2015-12-10 21 41 11

 

記載している内容に関してのエビデンスがきちんと書かれてあるというレビューをみて購入を決めました。

実際に購入してパラパラ見てみると、記載されている文章ごとにエビデンスレベル(Ⅰ~Ⅴ)が書かれており、使いやすい印象です。

 

 

また転倒リスクと生活上の注意が簡単な言葉で書かれている転倒予防手帳のPDFも付属のCDに収録されていました。

「転倒リスクが△△の場合、○○倍転倒しやすいでの☓☓しましょう」と形で書かれており、具体的な行動に移しやすく、非常にわかりやすいかったです。

 

今回のスライド作成にあったても参考させて頂こうと思います。

 

 

ちなみにエビデンスレベルⅠ~Ⅴについてはコチラ

エビデンスレベル分類

https://www.jsh.or.jp/liver/PDF/evidence_level.pdf より引用改変

 

 

呼吸に関して書きたい事はあったのですが暫くお休み。

転倒予防について勉強してスライドを作成していきたいと思います。

 

つづきはコチラ ⇒ 転倒の原因、「段差」は転倒の原因ではない?

 

 

 

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関連リンク

(ぼくがした講義・スライド)
転倒予防がなぜ重要なのか?(訪問看護師さん向けの転倒予防の講義①)
転倒の原因を考える(訪問看護師さん向けの転倒予防の講義②)
転倒予防にオススメの運動 (訪問看護師さん向けの転倒予防の講義③)
地域住民の方に転倒予防の講義をしてみた!(地域住民の方向けの転倒予防の講義)

(講義・スライドの元ネタ)
転倒予防①(転倒が寝たきりの原因となる理由、訪問看護・リハビリ と 転倒)
転倒予防②(転倒の原因、「段差」は転倒の原因ではない?)

(その他)
法人リハビリスタッフ向けに「転倒予防」の講義をしてみた!(来月の告知あり)
第43回リハビリテーション特別研修会(介護予防推進リーダー士会認定事業)
介護予防推進リーダー研修

 

引用・参考文献

1)平成26年国民生活基礎調査p50より 引用改変

2)Tinetti ME1, Speechley M, Ginter SF:Risk factors for falls among elderly persons living in the community.N Engl J Med. 1988 Dec 29;319(26):1701-7.(無料でアブストラクトがみれます⇒コチラ

3)日本理学療法士協会 P12,13(2014),社保審-介護給付費分科会 第108回ヒアリング資料 引用改変

4)Tinetti ME, Williams CS:The effect of falls and fall injuries on functioning in community-dwelling older persons.J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 1998 Mar;53(2):M112-9. (無料でFULL TEXTがみれます⇒ コチラ

5)平成26年国民生活基礎調査P53より 引用改変

 

 

 

 

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