聴診の話⑤(肺区域・ランドマーク・目印)

最終更新日

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前回の話では、そもそも肺でなぜ音が生じるのかについて話しました

 

今回はそれぞれの肺音についてみていきます

これから説明する、いろんな肺音で痰の有無を推測してもらったらと思います

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肺音には健常な人でも聴こえる呼吸音と健常な人では聴こえない副雑音とに分ける事ができます

痰がたまっている時の音というのは病的なのでもちろん副雑音になるのですが、異常な音(副雑音)を異常と分かるために正常な音(呼吸音)というものが分からないといけないので、まずは正常な呼吸音から説明していきます

 

 

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正常呼吸音

肺胞呼吸音 (vesicular sounds)

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吸気に主に聴取され、柔らかい音で、吸気と呼気との切れ目(ポーズ)がないのが特徴

吸気と呼気では吸気の方が長く聞こえます

 

 

音声を実際に聞いてもらうのがよいと思うので、You Tubeに動画がupされていたので紹介します

この動画では0:20あたりで紹介されている「vesicular sounds」が「肺胞呼吸音」にあたります

 

 

聴診できる場所はこちら

 

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前面は胸郭の端の方で、後面は肩甲下角付近

ちょうど病変の起こりやすいS6、S10あたりになります

 

 

肩甲骨下角 |

 

肩甲下角は手を後ろに組んでもらうと、肩甲骨の下の方でボコっとでてくる骨の出っ張っている部分です

This by Tinrocket 1.0.2 (101) ???????? |

 

ちょうど肺内の音がよく聞こえる部位や手術の時に侵入部位として有名な聴診三角付近

図1q

僧帽筋の内側縁、肩甲骨の内側縁、広背筋の上縁に囲まれた部分

ちょうどこの部分の筋肉が薄いので肺内の音がよく聴こえるんですね

 

 

 

気管呼吸音 (Bronchial Sounds)

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先ほどの肺胞呼吸音と比べ、呼気に主に聴取され、硬調な音がし、吸気と呼気との間に切れ目があるのが特徴

 

 

音声は先ほど紹介した動画で紹介されています

この動画では1:17あたりで紹介されている音です

 

 

聴診できる場所はこちら

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頚部気管直上になります

 

 

気管支肺胞呼吸音  (Bronchovesicular Sounds)

肺胞呼吸音と気管呼吸音を足して2で割ったような音?

だだだ

特徴も先に紹介したは2つの音の中間ですね

ただここで重要なのは、先ほど肺胞呼吸音が聞こえるとされる場所で、この気管支肺胞呼吸音や先ほどの気管呼吸音が聴取された時です(気管支呼吸音化といいます)

そういう時というのは肺炎肺水腫などの病変が起こり肺に通常よりも多くの水分が溜まってしまい、音の伝わりがよくなっている可能性があるんですね

しかもこういう音の変化は、画像所見よりも早く出現するので重要

 

 

音声は先ほど紹介した動画で紹介されています

この動画では1:49あたりで紹介されている音です

健常な人で聴取できる場所はこちら

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胸骨上や肩甲骨の間になります

 

 

 

副雑音

今度は健常な人では聴取できない音(= 副雑音)についてみていきましょう

痰がある時の音はコチラになります

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それらの音を合わせてラ音というのですが、そのラ音はさらに 断続性ラ音 と 連続性ラ音 に分類されます

それぞれ詳しく説明していきます

 

 

荒い断続性ラ音(水泡音:すいほうおん:coarse crackles:コースクラックル)

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粗い断続性ラ音、別名、水泡音コースクラックルとも呼ばれますがこの音がどうしてでるのかというと、比較的太い気管支の壁にあるが気流により破裂する時の音と言われています

ブクブクとかプクプクといった音

この音は痰がある時にしかでない音なのでとっても大事な音です

 

 

吸気前半に多い傾向にあります

 

 

心不全が進行して肺が水浸しになっている患者さんや、誤嚥でひどい肺炎になってしまった患者さんから聴取されることが多いです

後で説明するrhochi (ローンクス)も痰が原因で生じる場合がありますが、咳をするとrhochiはすぐに変化がみられやすいのに対してcoarse cracklesは変化が少ないのが特徴

 

 

音声はこちらの動画

 

上のスライドでは比較的太い気管支にある痰が破裂する時の音と記載していますが

ぼくの臨床では確かに痰は溜まっているけど、吸引が可能な主気管支レベルまではまだ上がってはいない、と考える事が多いです

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低音なので肺内でも音の響きがいいため、肺のどこから主に出ているか聞きわけるのは難しいですが、その中でも比較的よく聞こえる場所をみつけます

その場所からブロンコ体操をつかって排痰体位をとってもらいます

その排痰体位の状態で、ハッフィングができる様な患者さんなら「長めにハ~~」と言ってもらったり、それが難しい患者さんであれば呼吸介助などをして、少しでも痰が中枢気道に上がる様な事をします

そんな事をしているとしばらくして、coarse crackles(水泡音)から rhochi(類鼾音)に音が変わってくる事が多いですね

音がrhochiに変わってきたら、吸引カテーテルでも吸引が可能な中枢気道まで痰があがってきたと考えて、排痰体位は関係なく、患者さんが咳がしやすい姿勢を取ってもらいます

通常は座位が出やすいのですが、患者さんによっては背臥位じゃないとダメという方もいます

そこで咳嗽をしてもらいますが、有効な咳が出来ない方は「短めにハッ!ハッ!」とハッフィングをしてもらったり、十分な自己喀出が難しそうであれば咳嗽介助に入ります

それでも困難であれば吸引という事が多いです

結構な痰が中枢気道まで上がってくれることは嬉しいのですが、同時に窒息のリスクもあるので留意

 

 

 

ハッフィングについてはコチラの記事をどうぞ

自分で痰を出しやすくする方法(ハッフィング)についてまとめてみた

 

 

呼吸介助についてはコチラ

呼吸介助についてまとめてみたよ!

 

 

 

細かい断続性ラ音(捻髪音:ねんぱつおん : fine crackles:ファインクラックル)

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呼気時に閉じていた細い気管支吸気時に開いた時に生じる音

前胸部より背側で聴取されやすい傾向にあります

 

音の発生の機序については、このスライドの様に細気管支といわれる方もいますが肺胞の間質から音が発生しているのではないかという方もいます

 

半坐位(ファラー位)や座位で、下葉部分で聴取されることが多いです

 

 

音声はこちらの動画の3:00あたりで流れますが、ちょっとわかりずらいですね

ナースのためのCDによる呼吸音聴診トレーニング/米丸亮(編者),桜井利江(編者)に付属しているCD音源はもっとわかりやすいので、はっきり聞きたい方はそちらをオススメ

 

ぼくがいる今治は暮石で有名な大島石の採掘・加工が行われている所で、石の粉塵を吸って間質性肺炎(塵肺:じんぱい)になってしまっている方が結構います

今ではマスクをして仕事をされていますが、昔はそんなのなかったですから

病期が進んでくればくるほど、前からも結構聞こえてきます

 

痰関係ではこの音との関係は薄い様に感じますが、肺炎との関係でいいますと炎症が収まり少し改善が見られてくるとcoarse crackles(水泡音)が減るのとは反比例して、この音が聞こえ始める事が結構あります

 

 

 

高音声連続性ラ音(笛声音:てきせいおん:Wheeze:ウィーズ)

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細い気道が閉塞している時に生じる音で、呼気中心に聞こえます

閉塞する原因が喘息など気管支が攣縮して気道が狭くなる場合 と 痰で気道が狭くなる場合があります

本当に笛がなっている様な音

 

 

音声はこちらの動画の4:23あたり

 

 

このスライドでは痰でもこの音はでますよ、と書いていますが臨床では痰の貯留でこの音がでている事は少ない印象

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この音はかなり高音であるため音が限局しやすいので、音がでている場所は特定しやすいです

上のスライドにも書きましたが末梢気道で生じているので、痰なら、その音が出ている場所からブロンコ体操で排痰体位をとってもらった上で、ハッフィングなり呼吸介助なりすると音がすぐ消失します

たまっている痰の量が少ないためか、しばらく排痰手技をしても中枢気道まである程度の痰が貯まる事が少ない印象です

なのでぼく的に排痰の優先度は低いと感じています

しかし既往に気管支拡張症など非常に痰量の多い疾患を持たれている方の場合には、芋ずる式にズルズル出てくる事が多いので注意して下さい

痰が上がってくるとピューとかヒューという音(笛声音)が、ブクブク(水泡音)やゴー(類鼾音)という音に変わったりします

 

 

 

低音性連続性ラ音(類鼾音:るいかんおん:Rhonchi:ローンクス)

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太い気道が閉塞した時に聴取される音で、呼気・吸気ともに聴取されるのが特徴です

この音は舌根が沈下した時や太い気管支に結構な痰が溜まっている時に生じるとっても重要な音になります

 

 

音声はこちらの動画、ちょっとわかりずらいですね…

ナースのためのCDによる呼吸音聴診トレーニング/米丸亮(編者),桜井利江(編者)はもっとはっきり分かるので、興味のある方はそちらを是非参考にして下さい

著作権の関係でupはできません(・_・;)

 

 

また痰の吸引が可能な主気管支レベルまで上がってくるとこの音がします

なのでこの音を聞こえてくると「もうそろそろ痰がでてくるぞ!」と判断して、患者さんにをしてもらったり、咳が出来ない方は「短めにハッ!ハッ!」とハッフィングをしてもらったり、十分な喀出が難しそうであれば咳嗽やハッフィングに合わせて咳嗽介助に入ったりします

それでも困難であれば吸引という流れですね

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またこの音は 「自分のした排痰手技でちゃんと痰が上がってきているのか」 や 「主気管支レベルの痰がちゃんと取り切れているのか」 がある程度分かるため、肺理学療法や吸引の前後の効果判定の1つに使えます

ちゃんと自分が思った通りに痰が上がってきてくれたら嬉しいでしょ?

 

 

 

 

吸気性連続性ラ音(squawk:スクウォーク)

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この音は聞き慣れない方も多いかもしれません

 

細い気道が閉塞した際に生じる音で、Wheezeが呼気に聴取されるのに対しこちらは吸気に聴取されるのが特徴

Wheezeよりも高音です

連続性ラ音に分類されていますが、音の出る時間は短い(100msec以下)ので断続性ラ音に分類されることもある様子

 

荒い断続性ラ音(coarse crackles)に続いて聞こえることが多く肺炎の初期によく聞こえる音として知られています

可能性として10~15%だそうです

そのため特に訪問場面では聴き逃してはならない音です

この事を知っていたら訪問場面で家族さんに「ちょっと変な音がしているので、体温を小まめに測って下さいね」だったり「調子が悪くなったらすぐ連絡くださいね」と声掛けが行えたり、他の所見を合わせてみてこれば明らかに悪くなりそうと感じたら病院受診や往診をすすめる事もできます

不運にも調子が悪くなったら、あの看護師さんのいう通りやったわ!次からは言うこときこう!と信頼感は激盛りされるのではないでしょうか?

 

 

音声はこちら

この動画の3:10あたりのcoarse cracklesに続いて聞く事ができます

 

 

でスクウォークが聴こえてきたらどうしたらいいかという事ですが

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肺炎の初期にでる音でもあるので、痰の量としてはそれほど多くない印象です

ただし痰の非常に多い疾患(気管支拡張性など)を持っている患者さんの場合、スクウォークの音がする部位からブロンコ体操で排痰体位をとって、ハッフィング、呼吸介助などをしていると芋づる式に痰がでてきて、 rhochi(類鼾音)に音が変わる事もあります

なので既往にそういう疾患のある患者さんでこの音が聞こえた場合には、排痰にチャレンジする価値は十分あるのではないかと思っています

 

 

今まで肺音についてザーと述べて来ました

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面白いですね

音で色んな事が推測できちゃう訳です

 

 

っっっq

ここまで2の「どんな音が聞こえるのか」について説明してきました

今度は3の「どのタイミングで聞こえるのか」について説明していきます

これは2を補完するものになります

 

 

 

どのタイミングで聞こえるか

先の呼吸音の説明で、ちょろっと言いましたが、音によっては呼気の時によく聞こえる音(Wheeze)、吸気も呼気にもよく聞こえる音(Rhonchi)、吸気の時によく聞こえる音(fine crackles)などがあったかと思います

それぞれ、どのタイミングで出やすいかある程度決まっているので、そのタイミングから音を分類しましょう、という事です

こお

ちなみに呼吸は、空気を吸っている時(吸気相)と、息を吐いている時(呼気相)、その間のポーズ相からなります

ポーズ相ってなんやということになるのですが、呼吸運動が限りなくない時間帯だと思って下さい

 

 

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各相でも始めの方に聞こえる早期 と 後の方で聞こえる後期 に分かれています

 

自分が聞いている音が一体、どのタイミングで出ているのか分かってくると、音の分類をする上でいいヒントとなったり、カルテに記載したり同僚に伝える時にも伝わりやすくなります

(例)

・吸気の始めの方でAの音が聞こえる → 吸気早期にAが聴取

・呼気の終わりの方でBの音が聞こえる → 呼気後期にBが聴取

・吸気も呼気もCの音が聞こえる → 全相に渡ってCが聴取

 

 

 

ちなみに痰に関係する音のタイミングとしては

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「グォー」や「ガー」などの類鼾音は吸気相も呼気相も聞こえる全相

「ブクブク」などの水泡音は吸気相とくにその最初に方の早期

「ピュー」などの笛声音は呼気相

「キュー」などのスクウォークは吸気相

でしたね

 

実はこれら以外でも痰が溜まる事で生じる音の変化として「肺胞呼吸音減弱」があるのでそれについて説明していきます

 

この「肺胞呼吸音減弱」は、健常な人でも換気量を意識して減らすとこの音になっちゃうのですが、痰が貯まっても肺胞呼吸音減弱と呼ばれる状態になる事があります

 

 

肺胞呼吸音減弱の原因は痰だけではなくて沢山あります

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●痰や腫瘍などによって気道が完全に詰まってしまい空気の移動がなくなるので音の伝わりが悪くなって生じる場合

●上の状態がしばらく続くと詰まった側から肺胞側にある空気が血液中に吸収されてぺっちゃんこになる無気肺

●何らかの原因で肺を包む膜が破けて空気が入つたり(気胸)、水が肺内に溜まったり(胸水)、肺胞壁が壊れて動的過膨張している状態や肺胞に膿が溜まっている場合

●ALSや筋ジスなどで呼吸筋力が低下して換気量が減ってしまった場合

●片側の肺のみに挿管してしまった場合

 

 

 

で痰がたまっている事で肺胞呼吸音減弱がみられている可能性が高い場合で、具体的にどうすればいいかという事です

 

※胸部X線写真でシルエットアウト(シルエットサイン陽性)している場合はより可能性が高くなります

  CLOMOCIANS COLLEGE 様より引用

 

シルエットサインについてはコチラのHPが非常に分かりやすいです

 

 

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肺胞に繋がる気道に痰が貯まる事で、肺胞に空気が行かなくなると肺胞にあった空気が吸収されて、肺胞は虚脱(ぺっしゃんこ)してしまいます

それで音の伝達が悪くなって肺胞呼吸音が弱くなってしまうんですね

その場合、空気が抜けて虚脱した肺胞に再び空気を入れて上げることで気道に詰まった痰を取り除く事ができます

 

 

Processed with MOLDIV

それには3つの空気の抜け道を使います

1つが虚脱した肺胞と隣り合っている肺胞からの抜け道(Kohn孔:コーンコウ)、もう1つは虚脱した肺胞と健康な気管支とつなぐ抜け道(Lanbert吻合:ランバートフンゴウ)、最後は気管支どうしの抜け道(Martin吻合:マーチンフンゴウ)を使います

 

肺胞呼吸音が減弱している部位を上にして、深吸気や呼吸介助などをすると換気量が増えて、上の3つの抜け道を通って虚脱した肺胞に空気が入ってきます

この膨らんだ肺胞が萎む時に痰を中枢気道に吹き飛ばすことがあるんですね

この痰が移動する事で肺胞呼吸音減弱が消失したり、また移動した痰の量が多ければ新たな副雑音が聴取される様になります

 

 

 

そして一般的な聴診手順

koko

基本的に聴診は座位で行われます

肺の上の方から下の方へ、左右の比べながら、異常があるなしを意識しながら聞いていきます

 

どの部位を聴診していくかなのですが、肺を縦に3分割(上肺野、中肺野、下肺野)にして、前面後面を左右1ヶ所ずつ計12ヶ所、それに側面の2ヶ所を合わせて、合計14ヶ所を聞いていきます

ただこの上肺野、中肺野、下肺野はレントゲン写真上での分け方なんです

そのため上肺野は上葉ではなく、中肺野も中葉でもなく、下肺野も下葉でない事に注意が必要

 

 

ちなみにレントゲン写真上での分け方としては

上肺野・・・鎖骨 ~ 第2肋骨(胸骨角のすぐ横)

中肺野・・・第2肋骨 ~ 第4肋骨

下肺野・・・第4肋骨より下

 

 

そして上・中・下肺野 と 肺区域の対応は以下の様になります

っっっっs

 

上肺野・・・上葉のS1~S3

中肺野・・・上葉のS3 、 下葉のS6

下肺野・・・中葉のS4、S5  と 下葉のS7~10

 

 

 

聴診の流れを図で表すとこんな感じ

あ

 

ええ

 

っっっd

 

後面の中肺野にあたる部分が狭まっているのは、肩甲骨周りには筋肉が分厚くで聞こえにくいからなんです

肩甲下角の少し内側は筋肉が薄くて聞こえやすいという事でこの付近を聴診するようです(聴診三角

 

ちょうど病変が起こりやすいS6、S10付近なのがいいですね

 

 

 

5

大雑把に聴診していって、異常がみつかれば詳しくみるという流れです

 

異常(副雑音)が見つかった場合には、その音が連続音であるか断続音であるかを区別して、音のタイミングなどから副雑音のどの音かな?と推測します

患者さんの姿勢(体位)や咳などしてもらって変化がみられる場合には、副雑音の原因を絞る事ができます

また聴診以外のフィジカルアセスメントや、検査結果なども合わせて考える事で、更に副雑音の原因を考えていきます

 

 

 

聴診のスクリーニングにいい部位

聴診する際には、上記の様に聴取するのが理想なのですが、時間がなくて困難である場合など、スクリーニングするのにいい部位があるのでご紹介

 

下葉のS6、S10 などは誤嚥や臥床が長い事で生じる沈下性肺炎など病変がとっても生じやすい部位であるので、ここを聴取してみる事をオススメします

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ランドマークとして分りやすいのは肩甲骨の下角(かかく)

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肩甲骨の下角は肩甲骨の下の出っ張っている部分

両方の肩甲骨の下角を線で繋いでもらってその上がS6、その下がS10という感じで覚えてもらってもいいと思います

 

ただ呼吸困難感が強い患者さんなどでは、呼吸補助筋である斜角筋や僧帽筋などの筋緊張が強く

肩甲帯が常時挙上している方も多いので若干ずれはあるので注意して下さい

 

 

もう1つは頚部です

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STさんがする様な嚥下音を聴くわけではないのですが、肺の中で生じた「ピュー」とか「グォー」などの閉塞音(連続性ラ音)は頚部まで音が伝わってくるので、ここで異常な音(副雑音)があるかどうかがわかっちゃう訳です

頚部で変な音が聞こえたら、どこで生じているのか?と探していくと効率的かもしれません

 

 

 

音の場所を伝えたり書いたりする時の注意点

今まで細かい肺区域(S1~10)や上葉・中葉・下葉の位置などを話をしてきたのですが、カルテに書いたり同僚に伝える際の注意点があります

あっs

解剖学的な場所で伝えると言う事です

 

 

例えば、聴診した部位が肩甲下角などはっきりした名称がついている所なら、「右肩甲下角で~」などと、いう事ができるのですが、肩甲下角などのはっきりとしたランドマーク(目印)がない場所ではどう言えばいいのでしょうか?

 

そういう場合には、身体の横(水平)方向の位置 と 身体の縦方向の位置 の2つがわかれば、地図の経度と緯度の様に、相手に正確な場所を伝えられます

SA1
辰野ゼロポイント捜索様より引用改変

 

 

横(水平)方向と縦方向の交わる所って一箇所しかないわけですから

 

 

あささ

 

 

上のスライドの縦線について説明します

いろんな名称のついた縦線があるんですね

さささささs

日常業務で心電図(ECG)の電極を貼り付けるような事をしている看護師さんなら、鎖骨中線や前・中腋窩線などは知ってはるのではないしょうか?

 

ちなみに

前腋窩線…腋窩の前の縁を通る線

鎖骨中線…鎖骨の真ん中を通る線

肩甲線…肩甲骨下角を通る線  ets

上記スライドで紹介した線以外にも「乳頭線」など色々あります

 

 

臨床では実際、聴診した場所はどう言われて(書かれて)いるのかといいますと

 

上記の様に解剖学的な場所で言うのが丁寧で理想です。しかし、実際は「一般的な聴診手順」の所で説明しました、「上肺野・中肺野・下肺野」で場所をいうDrが多い影響か、臨床ではその言い方・書き方が多い印象があります。

 

 

 

 

あとは聴診する際のちょっとしたコツ

image-0055

軽い閉塞性障害のある方は安静時では狭窄音(連続性ラ音)が聞こえない場合も多いのですが、深呼吸してもらうと聞こえる事があります

 

またRhonchiと紛らわしい音が舌が原因で出ていることがあります

舌根が沈下している場合ですね

そのため姿勢で舌の位置が変わると音がすぐ変わったりする事が多いです

 

 

 

まとめ

今回は私達医療従事者が排痰(体位ドレナージ)を行う上で必要な聴診を簡単に話をさせてもらいました

痰がたまっている場所(S1~10)が推測できて、どうしてその様な音に聞こえるのか、イメージしやすくなったでしょうか?

異常な音が出ている場所や音の種類などがわかれば、チームで情報を共有する事ができ治療やケアに繋がりやすいと思います

 

最後に、ここまでの内容は私というフィルターを通していますので勘違いや間違いも多いと思います

そのためご指摘やアドバイス等頂けると助かります

 

患者さんの安楽な排痰に繋がれば嬉しいです

長文を最後まで読んで頂き、ありがとうございました

 

 

 

 

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